宇波彰現代哲学研究所

多種多様な「知」の交流を通じ文化創造との実践的な橋渡しをめざし、新たな学問分野の開拓を行う研究機関のブログです。

月例読書会のお知らせ

いつも当研究所のブログをご覧頂きありがとうございます。

10月28日(水)15時より、明治学院大学白金キャンパス1558教室において、
明治学院大学言語文化研究所様が主催されます、
首席フェロー宇波彰による月例読書会「記号哲学講義」が行われます。

参考URL:
http://www.meijigakuin.ac.jp/~gengo/bookclub/index.html

今回のテーマは「ラカンとレヴィ=ストロース」を予定しております。

参加費は無料です。
関心のある方はぜひご参加ください。

参加を希望される方は当日教室まで直接お越しください。
お問い合わせは上記URL、明治学院大学言語文化研究所様か、
当ブログコメント欄までご連絡いただきますようお願いいたします。

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ラカンへの関心

 去る11月14日(土曜日)に、明治学院大学2202教室で「ジャック・ラカンを考える」というコロックを行なった。報告者は保利正章、向井雅明と私の三人である。保利氏は名古屋でクリニックを開いている精神科医、向井氏は高松と東京で「分析家」として活動している。保利氏の報告は、1962年から63年においてラカンが行なった「セミネールX」の或る部分を厳密に読む試みであった。ラカンはフロイトのテクストを一行ずつ(ligne par ligne)読むことを求めたが、保利氏の報告は、そのラカンの方法をラカンのテクストについて用いたものである。保利氏の実践に裏打ちされた報告は、アカデミックであると同時に実践的であった。
 向井氏の報告は「精神分析における身体性」をテーマにするものであった。ラカンの鏡像段階理論をもとにして、そこから必然的に帰結されるリマジネール、ル・サンボリックの境界を設定し、ル・サンボリックに入っていけない自閉症のケースを鮮やかに解読するものであり、きわめて厳密なプロセスに従い、ラカンについての深い理解に支えられたものであった。
 私は、ラカンの考えの中に含まれている哲学的な思考として、最近になって私自身が考えている「反復」の概念を中心に報告した。
 そのあとの質疑応答もきわめて質の高いものであった。この有意義な催しの実行を可能なものとしたのは、明治学院大学言語文化研究所のスタッフの方々のご尽力によるものであり、所長の四方田犬彦氏、面倒な実務にたずさわって下さった深澤比呂子さんを始め、協力して下さった方々に厚くお礼を申し上げたい。なお当日の発言の記録は2010年春に刊行予定の『言語文化』(30号)に掲載の予定である。 (2009年11月19日)

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コロック「ジャック・ラカンを考える」開催のお知らせ

11月14日(土)午後1時より、明治学院大学白金キャンパス2202教室において、
明治学院大学言語文化研究所様が主催されます、
コロック「ジャック・ラカンを考える」が開かれます。
ご関心のある方はぜひご来場ください。

以下、プログラムを明治学院大学言語文化研究所様より引用させていただきました。



●言語文化研究所主催 公開講座
『ジャック・ラカンを考える』

日時:2009年11月14日 午後1時から5時まで
場所:白金校舎2号館2202番教室

――プログラム――
午後1時〜 
向井雅明 「精神分析による身体へのアプローチ」
さまざまな奇妙な身体現象を、自閉症を通して精神分析的に捉えるとどうなるかを考える。
午後2時〜
保科正章 「不安のセミネールについて」
ラカンの「セミネールX」で論じられている<対象a >の問題を考える。
午後3時〜
宇波 彰 「ラカンの哲学的思考」
ラカンと哲学を結ぶ試み
午後4時〜
討議と質疑応答

講師紹介
向井雅明 分析家。著書に「ラカン対ラカン」、訳書に「ラカン フロイトへの回帰」がある。
保科正章 精神科医、精神分析家、共訳にラカン「精神分析の倫理」などがある。
宇波 彰 明治学院大学名誉教授、著書に「記号的理性批判」「力としての現代思想」などがある。

※入場無料。予約は必要ありません。直接お越しください。



明治学院大学白金キャンパスまでの交通アクセス

・品川駅
[JR 山手線・京浜東北線・東海道線・横須賀線・東海道新幹線 京浜急行線]
高輪口より 都営バス「目黒駅前」行きに乗り「明治学院前」下車 (乗車約6分) ※徒歩約17分

・目黒駅
[JR 山手線 東急目黒線 東京メトロ南北線 都営地下鉄三田線]
東口より都営バス「大井競馬場前」行きに乗り「明治学院前」下車 (乗車約6分) ※徒歩約20分

・白金台駅
[東京メトロ南北線 都営地下鉄三田線]
2番出口より徒歩約7分

・白金高輪駅
[東京メトロ南北線 都営地下鉄三田線]
1番出口より徒歩約7分

・高輪台駅
[都営地下鉄浅草線]
A2番出口より徒歩約7分

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月例読書会のお知らせ

いつも当研究所のブログをご覧頂きありがとうございます。

10月28日(水)15時より、明治学院大学白金キャンパス1558教室において、
明治学院大学言語文化研究所様が主催されます、
首席フェロー宇波彰による月例読書会「記号哲学講義」が行われます。

参考URL:
http://www.meijigakuin.ac.jp/~gengo/bookclub/index.html

今回のテーマは「ラカンの反復論再考2」を予定しております。

参加費は無料です。
関心のある方はぜひご参加ください。

参加を希望される方は当日教室まで直接お越しください。
お問い合わせは上記URL、明治学院大学言語文化研究所様か、
当ブログコメント欄までご連絡いただきますようお願いいたします。

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上海の森

 去る9月下旬に、都市基本問題研究会は、中国上海での調査を行なった。上海は、現代都市の基本的な問題を数多く抱えている都市のように思われたからである。以下はその簡単な報告である。
 上海についての私の知識は、藤原恵洋の『上海』(講談社現代新書、1988)がほとんど唯一の情報源であった。藤原恵洋とは一度だけ会ったことがある。熊本アートポリスの調査に行った時、車で案内してくれた。しかし、その後の交流はない。彼は何度も上海を訪れ、その建築を中心にいろいろ調査したことがこの本を読むとわかるが、興味深いのは、船を使って上海に行ったときの経験が描かれているところである。鑑真号という船の名前も面白い。大阪もしくは神戸から上海まで二日で着いたという。飛行機なら3時間足らずで行く距離である。
 私は藤原恵洋の著作を再読して上海に行ったのだが、彼の著作のサブタイトルである「疾走する近代都市」が眼前に展開されているのを見て、まさに上海という都市画急速に変化しつつあることを感じた。2008年に森ヒルズによって建てられたばかりの「上海環球金融中心」は500メートルに近い超高層ビルで、その展望台に登るエレベーターは急速で一気に客を連れていく。エレベーターそのものが「疾走」しているのだ。500メートルの高みから市内を見渡すと、上海の中心地が高層ビルの「森」であることがわかる。しかしその森は汚れた空気に包まれている。
 拙宅からは新宿の高層ビルが遠望できるが、林立する上海の高層ビル群に比べると何ということもない。上海の高層ビルの「集落」のようなものは「林立」という形容では描き切れないものがある。私がこの報告のタイトルを「上海の森」にしたのは、「上海の高層ビルの森」という意味である。いままで見なかったものを見るとき、われわれは驚きを感じるのであるが、上海の高層ビルの森は、私が見たことのないものであった。
 いま私は、フロイト、ラカンの概念である「反復」の問題をいろいろ考えていて、このブログでも、岡田三郎助の作品「民族協和」(1936)と、1941年に発行された「満州帝国建国10年記念切手」のデザインとの反復的関係などを考えているところである。それでは、上海環状金融中心の展望台から見た上海の「超近代的」光景は、何を反復しているのであろうか。おそらく、いままで人々が描いてきた「未来都市」のイメージの反復であろう。ビルとビルのあいだには、粗末で汚れた古い家並みが残っているところがある。やがては取り壊されて、新しいビルの敷地になるであろう。
 市内と空港を結ぶリニアモーターカーにも乗ってみたが、車内で表示される速度を見ていると、「時速431キロメートル」と読めたときがあった。30キロメートルを7分で走るので、アッという間に着いてしまう。まさに「疾走する」都市である。しかし市内の道路は車の群れがけたたましいクラクションを鳴らして、「渋滞」のなかを我勝ちに突き進んでいる。排気ガスが充満し、森のような巨大ビルの群が増殖しつつある大都市、これが人間社会が目指していた「未来都市」なのか?深夜の市街では、おそらく地方の農村から来たと思われれる青年たちが、黙々と道路工事に携わっていた。都市基本問題研究会にとっての真に「基本的な」問題が上海に集約しているように感じられた。(2009年9月29日)

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