宇波彰現代哲学研究所

多種多様な「知」の交流を通じ文化創造との実践的な橋渡しをめざし、新たな学問分野の開拓を行う研究機関のブログです。

Jacques LACAN 『Autres écritsもう一つのエクリ』 (éditions du Seuil, 2001) 読書会のご案内

私たちは、この間ラカン『セミネールⅪ』(邦訳『精神分析の四基本概念』小出浩之他訳岩波書店)を、宇波彰先生を中心に同一章の3人発表制をもとに6回にわたって(2日制のセッション形式)読み進めてきましたが、5月3日‐4日をもって読了しました。引き続きこのやり方に沿って『Autres écritsもう一つのエクリ』読み進めてきますので、ご案内します。
『セミネールⅪ』から通常の流れとしては 『エクリ』に移行しますが、その『エクリ』は、ラカン自身の表現(およびレトリック)の難解さもあり、邦訳はなかなか理解しにくいものでした。ただ、誰が手掛けてもその翻訳作業は難しいといえるでしょう。
そこで、翻訳の問題に踏みとどまっていたのではラカン読解は進まないので、思い切って、翻訳は刊行されていないものの、『Autres écritsもう一つのエクリ』をテキストにラカン読解を進めることにしました。幸い、東京精神分析サークルの協力を得て、あくまでも「私家版」ですが、「手作りの翻訳」をご用意する予定ですので、意欲のある方は是非ともご参加ください。

【概要】
期日:8月30日(土)15:00‐21:30、31日(日)10:00‐16:00
会場:駒澤大学会館
テキスト:『Autres écritsもう一つのエクリ』(Seuil) 記:まだ翻訳はありませんが、東京精神分析サークルの協力を得て、翻訳を提供の予定
講師:宇波彰先生
協力:東京精神分析サークル
会費:1,000円/日(会場使用料の負担)

参加者は、同一章(同一箇所)に関して3人発表制に基づき、発表を担当することを一応の原則としています。
運営方法、テキストの詳細は追ってご連絡申し上げます。

連絡先:吉沢明meisan46@kind.ocn.ne.jp militante1946@gmail.com

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ラカン「無意識の位置」『エクリ』メモ

「無意識の位置」と題されたラカンの講演は、無意識の概念をめぐる混乱の根源には、「意識」の定義をまず与えた上で、その定義にあてはまらないものを無意識に配当するという考え方そのものにある、というところからは語り始められている。ラカンは、「黒色」という色の定義を例に出して、まず「黒色」の定義を与え、この定義にはずれる色を「黒ではない色」と定義するという方法の問題を指摘している。言うまでもなく、首尾よく黒色が定義できたとしても(レヴィ=ストロースが指摘しているように、色の概念は、文化によって異なるから、「黒色」一般の定義を、文化を越えて与えることは必ずしも容易なこととはいえないのだが)、そのことによって、黒から排除された黒ではない「何か」の存在を暗示することができるだけであって、これだけでは「黒ではない何か」が何であるのかを説明したことにはならなない。同様に、何らかの方法によって「意識」を定義できたとしても、この定義から外れる精神作用を「無意識」と呼ぶことにしかならず、無意識とは何なのかをめぐる議論に貢献できることは何もない。日本語の「意識」に関連して意識に含まれない概念を考えるとすれば、「無意識」以外にも、「前意識」のようにフロイトによって既に定義されているものだけでなく、「未意識」「非意識」「否意識」「被意識」「共意識」などなど様々な意識をめぐる「造語」がありうる。こうした意識にあらざる対象を指示する概念の「開発」は、言語の作用をふまえれば、決して軽視すべきではないし、検討に値する魅力的なことだが、それによって「無意識」の包囲網が緻密になりはしても、「無意識」それじたいを明らかにしたことにはならない。

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