宇波彰現代哲学研究所

多種多様な「知」の交流を通じ文化創造との実践的な橋渡しをめざし、新たな学問分野の開拓を行う研究機関のブログです。

日本会議について

 近代国家が成立して以降、どんな時代にも、どんな国の中にも、愛国心の重要性を叫ぶ思想は存在していた。また、愛国心をイデオロギー的中核とし、自国中心主義を主張する思想も存在していた。それゆえ、日本における反共産主義を基盤とした右翼思想に言及する発言には目新しさはない。だが、今までマスコミにほとんど取り上げられることがなかった日本会議という謎の右派組織について語るとなると事情は大きく異なる。

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二項対立図式の罠     

 6月23日に行われた国民投票の結果、イギリスがEUを離脱することが決定した。この結果が政治的、経済的、社会的に見て、計り知れないほどの大きな影響を世界に与えると至る所で語られている。政治学者でも、経済学者でも、社会学者でもない私にはそうした大問題について語る資格も、能力もない。だが、この選択がEU離脱か残留かという二項対立図式に基づく国民投票によって行われたこと、すなわち、選択肢がAかBかでしかなかったという問題は論証性や対話性、主体性の表明といった私が日ごろ研究している課題と深く係っている。この小論では現代社会において自由選択の名の下に実施される制限された選択という問題や、二項対立図式によって導かれる言説の中で示される多様性を排除した論理展開といった問題について考察していく。
 この探究課題を検討するために非常に興味深いテクストがある。それはミシェル・ウエルベックとエリック・ゼムールというフランスの二人の右派知識人の書いたテクストである。ここでは後に述べる彼らのテクストを分析しながら、上述した問題性、すなわち、言説内の論理展開の中に隠されたファシズム性の罠について語っていきたいと思う。

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