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宇波彰現代哲学研究所

多種多様な「知」の交流を通じ文化創造との実践的な橋渡しをめざし、新たな学問分野の開拓を行う研究機関のブログです。

瑛九の点描画

 埼玉県立近代美術館での特別展示「瑛九の部屋」は4月14日までの開催であった。春学期が始まろうとしている慌ただしい時期。だがこの特別展示は絶対に見たい。私はそう思った。特別室に展示されている作品は瑛九の代表作である「田園」だけであるのだが、暗室の中で絵に当たっているライトの光度が調整でき、光度の変化に伴い点描によって制作された絵の立体感が変化するという企画は、この絵の持つ様々な側面を浮き彫りにするように感じられたからである。それゆえ私は新学期のための詰まらない準備を一旦完全に放棄して、美術館に向かうことにした。
 この特別室の他にも「瑛九と光春―イメージの版/層」という展示室があり、瑛九の油絵、フォット・デッサン、版画が50点弱と彼が雑誌に書いたテクストが展示されていた。瑛九の作品を十分に見られる訳ではなかったが、コンパクトに上手くまとめられている展示であった。だが何と言っても、注目すべきものは特別室にあった「田園」であった。先程も述べたように、この作品は光度を調節しながら鑑賞ができた。この光度の変化と点描された作品の形態の変化は予想していた以上に私の目を引き付けた。「田園」という絵を中心として瑛九について何かを書きたい。その時そう強く思い、このテクストを書くことにした。 

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