宇波彰現代哲学研究所

多種多様な「知」の交流を通じ文化創造との実践的な橋渡しをめざし、新たな学問分野の開拓を行う研究機関のブログです。

一言主神社への道

 去る11月中旬に、茨城県の常総市にある水海道(ミツカイドウ)において都市基本問題研究会の調査を行なった。上野から常磐線で取手まで行き、そこから常総鉄道で20分ほど行くと水海道に着く。私はどこかへ出かけるとき、ほとんど「予習」をしない。私がこのあたりに関心を持つようになったひとつの契機は、北山茂夫の『平将門』(講談社学術文庫、2005年)を読んだことである。
 その前に私は中井宗太郎『浮世絵』(岩波新書)を読み、同じ著者の『永徳と山楽』『司馬江漢』を、札幌で古本屋を経営している若い友人に頼んで入手して読んだ。そのうちに、中井宗太郎も北山茂夫も立命館大学で教えていてふたりにつながりがあったことを、別の若い友人から教えられた。北山茂夫の著作を何冊か読んでいるうちに『平将門』に出会ったのである。といっても平将門についての私の関心はまだ漠としたものであり、これから少しづつ文献を集めたり、彼の行動した跡などを訪ねてみようと思っているにすぎない。
 水海道には一言主神社という古い神社があることは知っていたので、そこへ行ってみようと思い、駅前の観光案内所で行き方をたずねると、駅からは10キロメートルほどあるが、バスで行っても停留所から40分は歩かなくてはいけないという。5キロなら歩くが、10キロではダメかと思ったが、案内所の貸し自転車(無料)を借りてペダルをこいで行くと、1時間ほどで着いた。
 神社にはほとんど人影はなく、お参りしたあと、パンフレットをもらって読んでみると、本殿は平将門の子孫の相馬弾正胤広という守谷城の城主が15世紀に建てたものだという。やはり平将門と関係があるのだと思った。帰りに常総鉄道の守谷でつくばエクスプレスに乗り換えて秋葉原に着いた。毎日新聞の夕刊(12月17日)を買って読んでみると、年末なので「この一年 美術」という記事が載っている。岸桂子さんという記者の署名記事である。今年話題になった美術展の回顧であるが、その中で私にとって気になったのは次の数行である。「自らを〈未完〉と位置づけて創作の一端を見せた横尾忠則展(金沢21世紀美術館)には圧倒される」。
 大新聞の美術記事としては、このようにしか書けないであろう。しかし私はこの著名な美術家が、国家主義的イデオロギーを伝達しようとする「国家基本問題研究所」のロゴマークをデザインしたひとでもあることを忘れてはならないと考える。(2009年12月23日)

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