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宇波彰現代哲学研究所

多種多様な「知」の交流を通じ文化創造との実践的な橋渡しをめざし、新たな学問分野の開拓を行う研究機関のブログです。

かでるでテラヤマを観る

 風蝕異人街の「青森県のせむし男」を札幌の「かでる」で見てきた。
まず目に入るのが中央の日本画風の母子像。これが印象的。
その両側に「てのひらに百遍母の名を書かば生くる卒塔婆の手とならんかな」と
「まなざしのおちゆく彼方ひらひらと蝶になりゆく母のまぼろし」という
寺山の短歌。母子の情を書いた短歌だが、それを家という大きな文字で読めないように
覆っている。その下は赤い格子。この格子が縦横無尽に動いてこの劇では大活躍する。
これはこの世のものならず…と言って三途の川の賽の河原で一つ積んでは母のため、
と石を積んでは鬼に崩される地獄の光景が語られる。
 母恋い地獄。これがこの劇の主題である。
 卒塔婆を背負った黒子の村人が時折、大正家の噂話をする。
 大正家の御曹司は女中のマツに手を着けて子どもを産ませた。
 生まれた子どもは背にこぶがあり、引き取られて行方知れずとなった。
それから30年後、50になったマツ(堀きよ美)は大正家の未亡人として、旅人や奉公人を
 もてなして暮らしていた。そこにコソ泥として捕まったせむし男の松吉(三木美智代)が
未亡人のマツと対面する。
 松吉に思いを寄せている女学生(私の回では、柴田詠子)が松吉とマツの母子の
顛末の目撃者として語る。
 松吉はマツを訪ねて母恋しくてここへたどり着いた 松吉をマツは近くの土手に連れ込んで、他人として、そして男として扱った。
 見るに耐えない禁断の場面を、女学生は目撃してしまった。
マツを責める女学生にあの子は松吉なんかじゃない、
 松吉はこの手で草刈り鎌で赤子の時に間引きした、
そもそも私はあの土手で御曹司に手籠めにされた、
 私は仏に生れてくる子に私の肉の墓を建ててくださいと祈った、とマツが言う。
 果たして松吉はマツの実子なのか、真相は闇の奥。
マツに向かって仏壇から身を乗り出してくる松吉がこの世の地獄を呪う。
 女学生が熱演で、未亡人マツも鬼気迫る。
だが、松吉が身の毛もよだつ異形の者として、迫真で自分の業を演じ切る。
 凄すぎる演出(こしばきこう)と芝居と歌と踊りだった。お勧め!
 
 修ちゃんはそんなにハツが嫌いなの?母子の情が胸を打つのさ
2019.813

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